イングロリアス・バスターズ
DVDで鑑賞。
タランティーノの映画を見るとき、「映画好き」は、次の3つのうちどれかの態度を選択せねばなりません。
1)「元ネタ映画」を思い浮かべながら見る。
2)「なんか元ネタ映画があるんだろうなあ、知らないけど」と思いながら見る。
3)「元ネタ映画」などないものとして見る。
1)はかなり中毒性の高い見方なので、一度はまると、映画を見る前に「予習」をするようになります。事前に情報として流れている「元ネタ映画」を見てから、タランティーノの映画を見るようになるのです。
2)もかなり楽しい見方です。ですから、映画を見た後で「元ネタ」がどうしても気になってしまいます。この見方も、繰り返しているうちに、いつしか「復習」をするようになります。
3)は一見フツーのことですが、ことタランティーノの映画となると、これがなかなか難しいのです。そういう見方をする自分が、「予習」も「復習」も拒否する「バカな」観客に思えるからかもしれません。映画ファンにとって、「映画馬鹿」が作った「馬鹿映画」ほど厄介なものはありません。
「イングロリアス・バスターズ」は、しかし、他のタランティーノ作品に比べて、3)の見方がしやすい映画だと思います。第2次大戦時のフランスを舞台にした「時代劇」なので、1)や2)の見方をしないとなかなか理解しづらい要素、つまり登場人物の内面の極端な欠如や、シチュエーションのわざとらしさが気にならないということなのかもしれません。そう言う意味では、かなり「バランスのとれた」傑作だと思います。