消えた100歳

ソースによって人数に微妙な違いがあるが、100歳以上の所在不明が全国で70人程になったらしい。100歳以上の人口は4万人以上だそうだから、70人という数字にそう驚きはない。要するに、行政のやってきたことが杜撰だったというだけのことだ。

もちろん、既に死亡している人に年金が支払われていたとしたら大問題だ。その辺りはしっかりやってほしい。しかし、このニュースを「家族(社会)の絆の喪失」とか「無縁社会の到来」とかいった情緒的な味付けで大きく取り上げるのは大げさすぎる。何でもかんでも家族や社会の問題に仕立て上げて「不安」を煽るのはやめてほしい。

足立区では死体が30年放置されていたらしいが、ある報道によると、70歳をこえた人間の死体はほとんど臭わないらしい。体脂肪が少ないからだという。なんだか「カラマーゾフの兄弟」のゾシマ神父のエピソードを思い出した。人々は高僧であるゾシマ神父の遺体が「臭う」ことで、その神性に疑いを抱くようになる。

死んだ後の匂いは自分では如何ともし難いが、生きている間は、当たり前のことだが人はそれぞれの意志で行動している。そこに様々な事情が絡むと、ときには家族や社会との絆や縁を切らざるを得ないことも起きるだろう。それは別に現代に特有のことではないと思うし、悲しく不幸な出来事かというと、ときと場合によるとしか言えないだろう。

行政制度の不備あるいは杜撰な運用の結果に過ぎない出来事を、過剰に解釈すべきではないと思う。