アブラゼミを見かけない

高校まで暮らした三重県でも、それ以降住み続けている名古屋市でも、セミといえばハネが茶色いアブラゼミだった。幼い頃よくセミを捕ったが、近所でアブラゼミ以外を捕まえた記憶はない。名古屋でセミ捕りをしたことはないが、木にとまっていたり、道で死んでいたりするのは必ずアブラゼミだった。
ところがどうだ。この夏はアブラゼミをほとんど見かけない。そのかわりハネの透明なセミが道に転がっているのを頻繁に見かける。お盆休み、三重の実家に帰ったときも同じセミの死骸を見た。「これは何ゼミだ?」とその死骸を見た弟が聞くので、「ミンミンゼミじゃないか」といい加減に答えたのだが、子供の頃私よりよほど外で遊ぶのが好きだった弟が珍しがるくらいだから、やはりセミの種類が変化しているのではないだろうか。
wikipediaで軽く調べたら、どうもこのハネが透明のセミクマゼミらしい。近年西日本で増えているという記述もあった。子供の頃、あまりにも簡単大量に捕れるアブラゼミに飽きて、テレビや図鑑でしか見たことのないハネの透明なセミに憧れたものだが、大人になってこういう変化に直面すると、なんだか寂しいような気持ちになる。かといって異常気象がどうの温暖化がどうのと一足飛びに騒ぎ立てるつもりはないけど。