パラノーマル・アクティビティ

DVDで鑑賞。

怖くない。登場人物がホームビデオで撮影した、という設定も食傷気味。しかし、意外に(と言うと失礼かもしれないが)真面目な映画で、なかなか面白く見ることができた。

怖くない、というのはこの映画にとって、そう大きな欠点ではない。怖いか怖くないかは、観客の文化的な背景に大きく左右されるから、「悪魔もの」である本作が日本人である私にとって怖くないのは、まあ当たり前だ。「エクソシスト」なんかも、好きな映画ではあるが、ちっとも怖くない。

ドキュメンタリー風味の撮影も、観客としては「もういい加減にしてくれ」と言いたいところだが、この映画が超低予算自主製作映画であることを考えると、フィルムメイカーとしては「まあこの場合、これ以外にいい手がないよね」と許せてしまう。

そういうことは措くとして、この映画のいいところは、シナリオというか構成がしっかりしているところだ。音、振動、風といった「超常現象」が、徐々に徐々にエスカレートしていく。このエピソードの積み重ね方が丁寧でいい。霊媒師やウィジャボードといったお決まりの手順を踏みながら、後半を「エクソシスト」にしないという、ちょっとした工夫もいい(まあそんなことしたらお金かかるしね)。「超常現象」の正体を突き止めようと執拗にカメラを回しつつける、デイトレーダーの彼氏。彼のパラノイアックなキャラクターも、それなりに巧く描けていると思う。

惜しむらくは主人公の女性、かな。見た目も演技も、フツーすぎる気がした。