母なる証明

DVDで鑑賞。

よかった。こんな映画が作れるボン・ジュノに嫉妬する。劇場で見逃したことを後悔。

ヘンな褒め方だが、いい意味で、ストーリーがくだらない。相対的に、スタイリッシュな撮影や演出が際立っている。重いテーマがある訳でもないし、ドラマティックでもない。むしろ、思わず失笑してしまうようなユルいエピソードが連続する。しかし(だから?)、それを几帳面に描写していく映画自体の異様さが、見る者を徐々に引きずり込んでいく。母親の空虚なパラノイアぶりもいい。その中身のなさが、母親を演じるキム・ヘジャに一層の美しさを与えている。

惜しいと思うのは、くだらなくユルいストーリーが最後まで持続しないこと。つまり、最後の方でなぜか妙にマジメになってしまう。これは好みの別れるところだと思うけど、私はその点が、この映画の唯一の瑕疵だと思う。