自主映画に劇場公開は必要か

いま、世界にはものすごい数の映画祭がある。を見るとよくわかる。Submit to Film Festivals - Withoutaboxで応募できる映画祭には、ここに掲載されていないものも多いから、実際の数はもっと多い。映画がフィルムから開放され、製作も上映も簡単になったことで、小規模な映画祭が増え続けているのだろう。

これだけ映画祭が多いと、各地の映画祭を渡り歩くだけで、「広く公開する」「一定数の観客を得る」という自主映画の目的は、ある程度達成できてしまう。なにも無理して単館での劇場公開にこだわる必要はないではないか、という気持ちにもなる。アメリカのインディペンデント映画のウェブサイトやfacebookページを見ると、葉っぱマークの数が半端ない。「ナニナニ映画祭公式上映」という文句を月桂冠で囲ったアレである。アメリカは特に映画祭の数が多いから、毎月どこかの街で自分の映画が上映されているという状態を1年や2年続けることは十分可能だ。

規模の大小を問わず、映画祭ウェブサイトの最初のページには、たいていスポンサーのロゴが並んでいる。来週18日に「極楽のおじさん」が上映されるhttp://www.ohio.edu/orgs/athensfest/index.cfmや、その会場であるThe Athena Cinemaは、州立大学のオハイオ大学が中心となって運営しているようだ。フィルムファンドや寄付を利用して製作された映画や、個人プロデュースの映画の場合、「興行」として上映を行う映画館より、むしろそのような映画祭での上映を主眼にする方が身の丈に合っているともいえる。

いや、「映画」はそういうもんじゃないんだよ、という考え方も、もちろんあるだろう。私自身、自分の映画製作が「個人のアート活動」かと問われれば、素直に「はいそうです」と答えるには抵抗がある。しかし、映画のベースがテクノロジーである以上、その発達によって開かれる可能性は前向きに信じていきたいと思う。