キャリー

クロエ・グレース・モレッツ主演のリメイク版「キャリー」と、オリジナルの「キャリー」をツタヤで借りて見た。
リメイク版のブルーレイをデッキに入れると、30秒ほどの本編ダイジェスト映像を背景に使用したメニュー画面が出る。
その映像で、どんな映画か大体わかってしまう。嫌な予感…。
案の定、最後まで見るのがつらかった。
プロムの舞台に立つキャリーに、キャットウォーク?に仕込まれたバケツから豚の血が浴びせられる有名なシーン。
バケツが倒れて血がどっと降り注ぐのを、いろいろな角度から撮影して、何度もダブらせて編集しているのには、思わず「バラエティ番組かよ!」とツッコミをいれたくなった。
世代的には「ひょうきん族」の懺悔室を思い出してしまう。
いや、ギャグならギャグでいいのだが、どう見てもそういう意図があるようには思えない。
その後の、母親がキャリーを刺すシーンもそう。
母親役のジュリアン・ムーアが、不自然に右手を隠したままキャリーを抱きしめ、長々と芝居をする。
その手にナイフを隠し持っていることを、ワザと観客に悟らせる演出だとは思うが、あからさま過ぎて安っぽいコントにしか見えない。
どんな三流監督が作ったのかと検索したら、「ボーイズ・ドント・クライ」の人でビックリした。
制作面で何かあったんだろうか…。
「学園モノ」として見ても、同じクロエ・グレース・モレッツの「キック・アスジャスティス・フォーエバー」のほうが面白い。
オリジナルの「キャリー」は大昔にテレビで見たきりだった。
「キモチ悪い」という印象が残っているだけで、細かいところはほとんど記憶していない。
今回DVDで改めて見て、やはり「キモチ悪い」映画だと思った。40年近く経って現役で「キモチ悪い」のはスゴい。
ブライアン・デ・パルマは基本的に苦手な監督だが、エライ人であることは確かだ。
それにしても、シシー・スペイセクをはじめとする役者たちの、DVDを通してなお感じる妙な生々しさはなんだろう。
もっと具体的にいえば、彼女たちの肌や髪や歯には、今の映画やテレビにはないリアリティがある。
この映画にかぎらず、70年代くらいのカラー映画特有のものだと思うのだが、それがこの映画のキモチ悪さに大きく関与していることは確かだ。
フィルム/デジタルや照明・メイク法の違いといってしまえばそれまでだが、なにかもっと複合的な、文化的な違いが原因であるような気もする。