瀬戸内寂聴と野村サッチー、または「罪と罰」

テレビでは瀬戸内寂聴ブームだが、これは昔野村沙知代細木数子がウケていたのと同じ現象だ。違いは寂聴が「赦す人」という役回りなのに対し、かつての「熟女」は「叱る人」だったということ。でもこれは大した違いではなくて、最初から赦すか、叱ってから赦すかという作法の違いでしかない。要は皆、誰かに判断を委ねたいのである。作法としてはむしろ寂聴のが厳しい。叱られず赦されればあとは自分次第、つまりは昨今はやりの「自己責任」というやつになるからだ。野村監督「サッチーがいなくて寂しい」という言葉を聞くと、俺もまた別の意味で寂しさを感じずにはいられない。

罪と罰〈上〉 (新潮文庫)

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罪と罰〈下〉 (新潮文庫)

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