アメリカン・スナイパー

イラクでの泥沼の戦闘と、アメリカでの平穏な家庭生活が、交互に描かれる。
圧巻は、戦闘中の主人公と身重の妻が、カットバックされるシーン。
ひと昔前なら、それは「編集のマジック」を感じさせる、映画的なシーンだったろう。
しかし今や、それは何のマジックも感じさせない、即物的なシーンににしか見えない。
ふたりは編集ではなく「衛星電話」でつながっているのだ。
主人公が抱く赤ん坊が人形に見えるのは、失敗でも手抜きでもない。
平穏な家庭は戦場に比べて、赤ん坊がパペットにしか見えないほど、リアリティがないのだ。