映画の感想

アメリカン・スナイパー

イラクでの泥沼の戦闘と、アメリカでの平穏な家庭生活が、交互に描かれる。 圧巻は、戦闘中の主人公と身重の妻が、カットバックされるシーン。 ひと昔前なら、それは「編集のマジック」を感じさせる、映画的なシーンだったろう。 しかし今や、それは何のマジ…

雨のアムステルダム

ロイヤル劇場で見た。 アムステルダムのアパートの屋上。 ラクダのシャツに猿股という格好の萩原健一が、特に意味もなく(?)木刀の素振りをしている。 この映画のすべては、このファーストカットに集約されている気がする。 ヌーベルバーグ(ニューシネマ…

いろいろ4

●オブリビオン 再編集して、トム・クルーズが廃墟の地球をパトロールするシーンだけの短編にしてはどうだろうか。 ●コズモポリス 映画がつまらないのはいいとして、なんやねんジュリエット・ビノシュ。 ●嘆きのピエタ キム・ギドクの映画は、「韓国アングラ…

ホーリー・モーターズ

レオス・カラックスの「汚れた血」は、俺の人生を狂わせた映画のひとつだ。大げさだけど。 「ホーリー・モーターズ」には、その「汚れた血」にそっくりなシーンがある。 主演はどちらもドニ・ラヴァン。 「汚れた血」では、D・ボウイの「Modern Love」に乗っ…

キャリー

クロエ・グレース・モレッツ主演のリメイク版「キャリー」と、オリジナルの「キャリー」をツタヤで借りて見た。 リメイク版のブルーレイをデッキに入れると、30秒ほどの本編ダイジェスト映像を背景に使用したメニュー画面が出る。 その映像で、どんな映画か…

偽大学生

ロイヤル劇場で。 ラストシーンに、胸を射抜かれた。 1960年の映画で今回初見だったのだが、今見ることができてよかった。 “施設”の患者たちが見物する中、「保守を、倒せ!」と、ひとりでデモを演じる“偽大学生”。 その様子を扉の陰から覗き見て、“施設”の…

オール・ユー・ニード・イズ・キル

面白かった。 主人公は死によってループするわけだが、死の恐怖や苦痛が描かれることはほとんどなく、中盤ではそのゲーム的な「死によるリセット」がコメディとして扱われている。その点がいちばん良かった。 トム・クルーズには、こういう深みのないキャラ…

いろいろ3

●ワールド・ウォー Z 臭い家族ドラマを削って、国別ゾンビ対策を描くコメディにすべきだった。 ●ジャンゴ 繋がれざる者 面白かったが、やはりタランティーノは好きになれない。 原因の1つは、俺がいわゆるシネフィルじゃないから。 もう1つは、結局スジがな…

アナと雪の女王

吹き替え版で見た。 王子の伏線なき豹変ぶり。 そこだけが妙に生々しくて怖かった。

いろいろ2

●パシフィック・リム ブルーレイで。 アイアンマンもそうだけど、向こうの感覚では、胸に穴ぼこ開いてるのがカッコイイんかな。 ●エリジウム ブルーレイで。 「万能治療器」みたいなんがダメ。 ●スター・トレック イントゥ・ダークネス ブルーレイで。 前作…

いろいろ1

●ザ・マスター ブルーレイで鑑賞。 つまり、65mmで撮られた映画を小さなモニターで見たわけだが、むしろそういう倒錯を楽しむ映画だと思う。●ミッション:8ミニッツ DVDで鑑賞。 ループもの(?)だが、前提となる理屈がよくわからなかった。●LOOPER DVDで鑑…

ハンナ・アーレント

勉強になった。 それはさておき、ハンナとダンナが、何かにつけチューしたり抱き合ったりする。 素直にそこがよかった。 オレも女だったら、あんなダンナがほしいと思う。

ゼロ・グラビティ(2)

ストーリーでいちばん面白かったのは、宇宙の彼方に放り出されたジョージ・クルーニーが、突然戻ってくるところだ。 逆にそこ以外の展開は、ヒネリがなくて少々退屈だった。 帰って来られるハズのない男が、ヒョイと帰ってくる。彼が自ら語るその理由も軽薄…

ゼロ・グラビティ

多少ネタバレ。 2Dで見たが、見事な画面に酔った。良い意味でも悪い意味でも。 冒頭から事故発生くらいまでのかなりの時間が、カット無しのワンショットで描かれる。 CGに二人の役者をハメ込んだような映画だから、「カメラワーク」は実写ではありえない自由…

日本誕生

ロイヤル劇場で。 ネットのデータでは180分超となっているが、114分の上映だった。 ヤマタノオロチが湖(川?)から出現するシーンが恐ろしかった。 キングギドラを彷彿とさせる。 子供の頃、買ってもらった玩具の映写機に入っていたのが、キングギドラが海…

風立ちぬ

名古屋のシネコンで鑑賞。 途中までは前のめりで見た。何もかも本当に素晴らしかった。 特にSE。 よく聴くとアニメでしかありえない音をアテているのに、画と合わさるととても深くリアルな感じがした。 しかし軽井沢でロマンスが始まってからは、急激に興奮…

二百三高地

ロイヤル劇場で。 1980年、オレが15歳の時の大作映画。テレビやラジオで主題歌をよく耳にしたという記憶がある。 しかし当時はスター・ウォーズやインディ・ジョーンズに夢中な子供だったので、見たいとも思わなかった。 「二百三高地」は、同じロイヤル劇場…

台所太平記

柳ヶ瀬のロイヤル劇場で。 うまくいえないが、なにもかも憎らしいほどカッコイイ。 とくに画面(シネスコ)の決まり方といったら。 ただそのカッコよさに慣れると、品の良さがチョット物足りなくも感じられる。 前半の森光子+乙羽信子+京塚昌子が特に面白…

黒部の太陽

柳ヶ瀬のシネックスで鑑賞。 奇妙な情熱に支えられたブラックな現場。 「戦場」または「映画製作」のアナロジー。 「昔のハナシ」と突き放しても、いやに生々しい感触が残る。 いつのまにか涙を流していた自分に驚く。 奇妙でない情熱やブラックでない人生な…

大阪の女

柳ヶ瀬のロイヤル劇場で鑑賞。 不思議なラストが印象に残った。 主人公は大阪の「芸人村」に住む、明るくお人好しな若い後家お千(京マチ子)。 元漫才師の父親(中村鴈治郎)や芸人たちのせいで、お千は次から次へとトラブルに巻き込まれる。 けれども彼女…

メランコリア

DVDで鑑賞。 ラース・フォン・トリアーの映画で、なんというか、初めて「波長」がぴったり合う感じがした。 (他に4本しか見てないけど。) 彼自身の鬱病の体験をもとにした映画ということで、描かれているのは「ドラマ」ではなく、いわば「症状」。 第1部は…

私が、生きる肌

傑作。 ヒッチコックの「めまい」を、一歩進めたような話。「めまい」における「服」が、この映画では「皮膚」になっている。「私」などは「皮膚」張り替えでいかようにも変わってしまう、という、恐ろしさと清々しさが同居する話。 とにかく構成が素晴らし…

「J・エドガー」、あるいは「不気味の谷」

多少ネタバレアリ

ブラック・スワン

ネタバレあり

ニセモノ/ホンモノ

少しネタバレあり。

SOMEWHERE

ネタバレあり。

はままつ映画祭

浜松のシネマイーラで、遅まきながら「SRサイタマノラッパー」と、名古屋シネマテークで見逃していた「宮城野」を連続して鑑賞。「SRサイタマノラッパー」は、「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」のような映画かと思いきや、かなり正統的な青…

キャタピラー

遅ればせながら、シネマスコーレで鑑賞。 ネタバレあり。

アイアンマン

DVDで鑑賞。シナリオがよく出来ている。つまるところ「アイアンマン」は、自分が蒔いた種、自らの幻影と闘うのだ。それは現在のアメリカの姿である。エンタテイメント性と批評性を両立させる手腕は見事だ。しかし、「アバター」でも感じたのだが、本当にそれ…

母なる証明

DVDで鑑賞。よかった。こんな映画が作れるボン・ジュノに嫉妬する。劇場で見逃したことを後悔。ヘンな褒め方だが、いい意味で、ストーリーがくだらない。相対的に、スタイリッシュな撮影や演出が際立っている。重いテーマがある訳でもないし、ドラマティック…