エスプレッソ!

数年前、セルフサービスのカフェで一服していると、白髪を無造作に伸ばした鋭い目つきの老人が早足で入ってきて、カウンターで「エスプレッソ!」と叫ぶように注文した。よく見ると、音楽をまったく聴かない私でも顔を知っている有名な指揮者だった。名古屋最大の音楽ホール近くのカフェだったから、まず人違いではないだろう。しばらく待って出されたエスプレッソを、彼は席に着かずその場でクイっと飲み干し、入ってきた時同様の早足で店を出て行った。なんかカッコよかった(笑)。以来私は、たまにエスプレッソを注文するようになった。ただ、安いカフェでダラダラするのが好きな私には、エスプレッソは量が少なすぎる。やっぱりコーヒーにしとけばよかったと後悔することが多い。