目的がないということ

「ビルのゲーツ」が、面白いのにイライラするのは、登場人物の動機に感情移入しづらいからだ。
(これはもちろん作品の欠点ではなく、仕掛けだ。おそらくもっとも重要な)


彼らは早い段階で、「CEO」に会うという「大きな目的」を(意識的に)忘れ、「ゲート」を通過するという「目先の目的」に熱中していく。それがなぜなのかは、見ている(当事者でない)われわれには、よくわからない。なぜなら彼らは、「彼ら」という集団の中でしか(完全には)了解できない「空気」に駆動されているからだ。


同じシーンが何度も繰り返されるという意味では、「ビルのゲーツ」は「ループもの」の一種だ。
少し前に見た「オール・ユー・ニード・キル」のトム・クルーズは、敵を倒してループを脱するという「大きな目的」を持っている。
そこが「イライラ/スッキリ」の違いだ。