マダムX
20年前、「マダムX」というひとり芝居を書いた。
方向音痴の主婦が道に迷い、流転の末に野垂れ死ぬという物語。
主婦の死の場面で、「あとには何も残らなかった」という台詞を書いた。
(小説でいう地の文も台詞になっている芝居だった)
今日それを思い出して、書き直したくなった。
安易というかなんというか、今振り返ると甘い台詞に思える。
今ならどう書き直すかと考えて、2つの候補があがった。
「あとにはゴミのような後悔だけが残った」
「あとには薄汚れた罪悪感だけが残った」
しばらく考えたが、どちらがいいかは決められなかった。
上演する予定はまったくないが、「マダムX」の続編を書いてみたい気がしてきた。
「後悔」か「罪悪感」かはわからないが、主婦のゾンビがそういう感情に突き動かされてさまよう物語だ。
題名は「マダムⅪ」。
主婦のゾンビは分裂して11人いる。