第9地区

DVDで鑑賞。
予算規模は天と地ほど違うのだろうが、「アバター」と根本的な部分で似通っている。
徹底した人間嫌いと、それと表裏一体の、化け物(エイリアン)の理想化。
第9地区」では、主人公ヴィカスの小物ぶりに比べ、醜悪な姿形をしたエイリアン・クリストファーの「人間的」なキャラクターが際立っている。彼は忍耐強く、言動は紳士的で、肉親に対する情と、同胞や故郷に対する愛を兼ね備えている。彼は理想的な人物である。もし彼が人間であったなら。
「人間嫌い」は珍しいことではないが、存在しない化け物に「理想的な人間像」を投影するのは倒錯している。そういう物語を政治的なアナロジーや、記録映画風の撮影と構成でパッケージしてしまうのは、個人的にはいかがなものかと思う。